◆2022年9月の完全失業率(季節調整値)は2.6%と4カ月ぶりに上昇した。内訳を見ると、失業者数は増加したが(前月差+8万人)、就業者数も増加した(同+13万人)。また、失業者数の増加の主因は「自発的な離職」によるものだ。非労働力人口は減少した(同▲9万人)。失業率は上昇したものの、その内訳や後述する有効求人倍率を踏まえると、雇用環境は前月から横ばいとなったとみられる。
◆9月の有効求人倍率(季節調整値)は1.34倍(前月差+0.02pt)と9カ月連続で上昇した一方、新規求人倍率(同)は2.27倍(同▲0.05pt)と低下した。前月に引き続き、新規求人倍率が低下したのは7月の大幅上昇の反動によるものだ。有効求人数は右肩上がりで回復している一方、求職側の回復が鈍い。
◆先行きの雇用環境は経済活動の正常化の進展に伴って回復に向かうだろう。ただし、回復を左右する要因が、感染拡大状況や感染防止策の実施の有無から求職者数の動向にシフトしつつある。企業は募集時の賃上げによって人手不足の解消を試みているが、企業が人件費を増加させることができない場合には、人手不足による倒産が増える可能性がある。